そして【ぶらり旅チケット】を存分に使い、前回同様船で大阪まで行って、そこから新幹線で帰ることに。ギリギリまで一緒にいたいからと、トーマも大阪まで見送りに来てくれるとのこと。
駅のコインロッカーに大きい荷物を入れた葵たちは、早速デートを始めることに。
「迷子になっちゃったら嫌だから手繋ご」
「下心丸出しなんですけど」
にこにこしているトーマの顔は、すごく怪しかった。
「えー。見せつけてやろうよー」
「知らない人に、なんで見せつけないといけないんですか」
「でも葵ちゃん、本当に迷子になるかもしれないじゃん? まあ、これは俺の我が儘だけど。だから、葵ちゃんさえよかったら、俺と手繋いでくださいな」
「(な、なんで、そんな可愛い笑顔もできるんだよう……)」
と思っていたら、イケメンの甘々ビームにやられたまわりの女性たちが、バタバタと倒れた。
「……はあ。致し方ありません」
「致し方ないて……」
彼のイケメンビームにやられる人たちを救うためだと、差し出されたトーマの手に、葵も自分の手を乗せたのだが。……その瞬間、途轍もない殺気を感じた。
「と、トーマさん。めちゃくちゃ寒気がするんですけど」
きっと、まわりの女性陣からの妬みの視線だろう。今でも半端なく飛んできているから。
「え? じゃあ、俺が温めてあげる」
「――!」
「これでもう、寒くないでしょう?」
トーマは、葵と繋がった手を自分のコートのポケットに突っ込んで、そのあと指をしっかりと絡ませてくるもんだから、驚いて体が硬直。そしてその瞬間、殺気の威力が増した。
「と、トーマさん。わたし、命の危機を感じたんですけど」
「大丈夫。それ、葵ちゃんじゃなくて俺の方」
「え?」
「はあ。……なんか、始まって早々不安でしかないんだけど」
首を傾げていると、トーマは小さく咳払い。
「それじゃあ行こうか、葵ちゃん」
「はい! よろしくお願いしますっ」
二人寄り添って歩き出したそのあとを、苛々した七人の男の子とニコニコした女の子が一人、付いていったとさ。



