すべてはあの花のために④


「なんで。わたしはうまれてきたんだ!」


 大きく息を吸って……――吐き出した。


「なんでわたしには時間がないの! なんでわたしにはお日様がないの! なんでわたしは、……っ、咲かないんだッ!」


 叫ぶ。叫ぶ叫ぶ叫ぶ。
 悲痛な思いを。苦しみを。つらさを。


「なんでわたしはっ。蕾なんだ。なんで。わたしはっ。……枯れ。るんだ。……っ。もっと。みんなともっと。一緒にいたい……ッ!」


 そう。置いていこう。
 もう。苦しまないように。


「……なんでっ。人にとって当たり前のことを。わたしは知らないんだ。家族を。愛をっ。……あったかい、気持ちを」


 涙と一緒に、……置いていこう。


「……でもっ。わたしは諦めないっ! ここからだ! わたしの人生変えてやる! 見てろっ! お月様も、お日様も、神様だってっ! たとえ罰当たりだろうが何だろうがっ! わたしはわたしだ! 絶対ッ。幸せになってやるんだからッ!」


 葵が戻ってくると、なんだか三人が深刻な話をしているようだったので、そのまま部屋に入って用事を済ませた。


「……ははっ。結局はこれが、一番わたしの弱いところか……」


 そう思ってはいてもやはり怖くて、大急ぎでその用事を済ませる。昨日あまり寝られてなかったせいか、死んだように就寝した。


 ❀ ❀ ❀


 次の日は朝からカツラが座禅に付き合ってくれるそうで、まずは朝食前に滝へGO!

 滝の勢いももちろん、冬がもう目の前のため、水自体が冷たいを通り越して痛い。それをわかっていながらも、打たれるためにニコニコでやってくる。ちなみにコーヒーだって、苦いと感じていても、関わらず飲んでいる。


「(変態のドMで、変人下僕のオオカミとか。逆に捕まってないのがすごくない? 実は欲望を抑えられているのでは?)」


 その前に汚名返上した方がいいのだろうが。

 そんなどうでもいいことを考えていたせいで、結構な時間打たれてしまった。


「すみません。朝食の準備手伝えなくて」

「全然いいのよ。それよりもお掃除、頑張って」


 今日も朝から寺の掃除。その後の座禅では、どうやら滝での考え事が漏れていたのか、午前中はたくさん叩かれてしまった。

 それからまた、昼食前に再び滝へGO。おかげで午後からは集中できた。きっと滝のおかげだ。
 カツラにそう言ったら、なんだか顔が引き攣っていたけれど。うん。きっと気のせい!


 でも、自分の気持ちを整理することができたのは本当だ。もしかしたら昨日、置いてきた気持ちが大きかったのかもしれないけれど。

 それからまた滝に打たれ、夕食の手伝いをしたあと、みんなでわいわいご飯を食べた。