「なんで。わたしはうまれてきたんだ!」
大きく息を吸って……――吐き出した。
「なんでわたしには時間がないの! なんでわたしにはお日様がないの! なんでわたしは、……っ、咲かないんだッ!」
叫ぶ。叫ぶ叫ぶ叫ぶ。
悲痛な思いを。苦しみを。つらさを。
「なんでわたしはっ。蕾なんだ。なんで。わたしはっ。……枯れ。るんだ。……っ。もっと。みんなともっと。一緒にいたい……ッ!」
そう。置いていこう。
もう。苦しまないように。
「……なんでっ。人にとって当たり前のことを。わたしは知らないんだ。家族を。愛をっ。……あったかい、気持ちを」
涙と一緒に、……置いていこう。
「……でもっ。わたしは諦めないっ! ここからだ! わたしの人生変えてやる! 見てろっ! お月様も、お日様も、神様だってっ! たとえ罰当たりだろうが何だろうがっ! わたしはわたしだ! 絶対ッ。幸せになってやるんだからッ!」
葵が戻ってくると、なんだか三人が深刻な話をしているようだったので、そのまま部屋に入って用事を済ませた。
「……ははっ。結局はこれが、一番わたしの弱いところか……」
そう思ってはいてもやはり怖くて、大急ぎでその用事を済ませる。昨日あまり寝られてなかったせいか、死んだように就寝した。
❀ ❀ ❀
次の日は朝からカツラが座禅に付き合ってくれるそうで、まずは朝食前に滝へGO!
滝の勢いももちろん、冬がもう目の前のため、水自体が冷たいを通り越して痛い。それをわかっていながらも、打たれるためにニコニコでやってくる。ちなみにコーヒーだって、苦いと感じていても、関わらず飲んでいる。
「(変態のドMで、変人下僕のオオカミとか。逆に捕まってないのがすごくない? 実は欲望を抑えられているのでは?)」
その前に汚名返上した方がいいのだろうが。
そんなどうでもいいことを考えていたせいで、結構な時間打たれてしまった。
「すみません。朝食の準備手伝えなくて」
「全然いいのよ。それよりもお掃除、頑張って」
今日も朝から寺の掃除。その後の座禅では、どうやら滝での考え事が漏れていたのか、午前中はたくさん叩かれてしまった。
それからまた、昼食前に再び滝へGO。おかげで午後からは集中できた。きっと滝のおかげだ。
カツラにそう言ったら、なんだか顔が引き攣っていたけれど。うん。きっと気のせい!
でも、自分の気持ちを整理することができたのは本当だ。もしかしたら昨日、置いてきた気持ちが大きかったのかもしれないけれど。
それからまた滝に打たれ、夕食の手伝いをしたあと、みんなでわいわいご飯を食べた。



