「ていうか葵ちゃん、お前らに言わずに来たって言ってたんだけど」
「そんなこととは露知らず、オレに写真送りつけてきたのはトーマじゃん」
あ。勝ち目ないわ、これ。
「でもま、トーマの写真を見なくても、うちのブレーンがあいつの居場所なんてわかってたけどな!」
「チカがなんで自信満々に言ってんのよ」
「まあ、そういうことだから。杜真、諦めろ」
肩をぽんと叩いた、アキラの左耳に何もないことに気づく。続けて横目でトーマはカナデとアカネを見遣る。
彼らの変化の裏に彼女の頑張りが見えて、つい顔が緩んだ。
「それで? おばさんが杜真のこと呼びに来たじゃない。『葵ちゃんが待ってるわよ』って語尾にハート付きで。……何してたのよ」
ビビらせようとドスを効かせたようだが、すでに勝利しているオカマには特に苦手意識はない。
「そんなに気になるの?」
だから、やり返すつもりでにやりと笑うと、まさかの予想だにしないところから伏兵が。
「どうせ告白でもしてたんじゃないの~?」
どうしてそんなに自信満々なのか。楽しげに笑うキサには流石に、動揺を隠しきれない。加えて。
「あれ? でも杜真って、あたしのこと好きだったよね? 切り替え早いねー」
拍車のかかったキサが、どんどんとバラしていく。
「ちょ、紀紗。流石にちょっとそれはどうかと――」
「あたしには逆うの」
「逆らいません」
そしてもちろん、こいつに頭は上がらないわけで。
「じゃあ、言ってごらんなさいよ」
「告りました」
離れに男たちの叫び声が上がったけど、こいつら忘れてんのかな。自分たちの存在がバレたら駄目だってこと。
「告ってどうなった。ええ?」
なんだかキサの手に鞭が見えるなあと、お手上げしようとしたら、またまたまさかの伏兵が。



