すべてはあの花のために④


「ご飯食べたので、写真見てもいいですか!?」

「はいはいどうぞ」


 期待してた話と違って肩透かし。
 けれど、すごく楽しそうに、嬉しそうにスマホをスライドさせている葵を見て、トーマも小さく笑った。

 ……でも、一体いつまでスライドするのだろう。彼女の指は止まるところを知らないどころか、スピードが速くなる一方で。


「(……そんなに動物の写真入れてたっけ。そもそも、ずっと同じ方向じゃ……)」


 葵が写真を見終わる頃には、頭の中を疑問符で埋め尽くされたトーマであった。