今回は中心でアピールをする人はほとんどいない。あくまでドレスを着ている場を想定しているからだろう。女性をエスコートをして、帰ってくる。
『ありがとうございました! 男性の流れるような素晴らしいエスコートに、メロメロになってしまったのではないでしょうか! 続きましてエントリーNo.13の方~。ステージへお上がりくださーい!』
「……行ってくるわ」
視線を合わさないまま、ツバサがステージの上へ上がっていく。
「(おお、ツバサくんは一応こっちだった。すっかり同化して忘れてたよ)」
葵の中でのツバサの存在感がなくなっているが、ステージ上での彼の存在感はすごかった。
『……ま、まずは青いドレスを身に纏った方から行きましょう。スラリと高い身長に、真っ青のマキシノースリーブワンピースがとってもよく似合っています! 足下にはヒールの高いベージュのパンプスで、手には真っ白のハンドバッグが上品に持たれています! 左側に流された長い髪から見える鎖骨や首筋が色っぽいですぅ……!』
もう諦めてください。もう彼も狙いに行ってるので。ミスの方。
『つ、続きまして、男性の方に移ります! 彼はジャケットと靴を黒で。パンツとベストを、彼の髪色と合わせたようなオフホワイトで合わせてきました! 少しぼけそうな印象ですが、そこでジャケットと靴の黒で締めてきているわけですね! とってもスッキリした印象を受けます!』
だがしかし、カナデはさっきよりもデカくなったツバサを嫌そうに見上げていた。
「ねえ、嫌みなのそれ。俺見上げる趣味ないんだけど」
「あ~らごめんなさ~い? ちょっとさっきより距離が開いちゃったから、何言ってるか全然わっかんないわ~?」
そんなことを言っているような気がした。彼らも腕を組みながら中心に行って、グルッと回っただけでそのままステージへ帰ってくる。



