『――……ありがとうございましたー! 続きましてエントリーNo.12の女性の方~。どうぞー!』
今度のステージ袖は男女で左右に分かれているため、みんなの般若顔を拝むことはなかったのだが、その代わりに女子トークが炸裂していた。
「最後の男性の方、とても格好よくなかった!?」
「もう私、惚れてしまいましたわ……」
「ああー! あたしも彼と歩きたかったー!」
きっと男子側も同じようなことを話しているのだろうと思っていたら、「あっちゃん」とキサから声が掛かった。
「さっきの人、間近で見てどうだった?」
キクという彼氏がいながらも、彼女もやはりこういうのは大好物らしい。
そんなキサの言葉に周りの女性たちも葵の言葉を待っているのか、しんと静まり返る。
「……格好よかった、です」
女性たちの悲鳴――いや、奇声が上がった。
どんどん顔を真っ赤にしてしまう人もいれば、羨ましいと葵に声を掛けてくる人もしばしば。
「格好、よかったんだけどねえ」
「ん? どうしたの?」
葵が考える人ポーズをしていると、キサが食いつく。
「どちらかというと、わたしは可愛らしい部類に入ると思うのよ」
「うん。別にそこ重要じゃない」
バッサリ切り捨てられたけど。
そうこうしているうちに、今度はアキラの番に。彼はパティシエの恰好をして、ステージに上がっていた。
「(よかった。どうしようかと思ってたけど……)」
葵が心配していたのは、他でもない『ここに、俺の顔と同じぐらいの大きさの飴があります。これを、こうして……食べます。ん~んっ!』みたいなこと本気で言い出したらどうしようかと思っていたのだ。心底安心した。
「それにしてもあっちゃん。すっごい真っ赤だったけど、どうしたの」
「わ、わたし、そんなに真っ赤だった?」
「うん」
まさかの即答。
「あっちゃん意外と頻繁に真っ赤になるよね。すぐ照れて可愛いけど」
「こう……建前で『綺麗』とか『美人』とか、そんな風に褒めてもらえることは、よくあるのね」
「うん。多分それ建前じゃないけど……それで?」
「だからこう、素直に言われると……ね」
「そっか。彼も真っ赤になってたもんね。素直に可愛いって言われて、真っ赤になっちゃったわけだ」
キサの問いに、葵は視線を逸らして何とか一つこくりと頷く。
「(おいおい~。みんなやばいぞー? 本格的に攻める前に、知らん男にあっちゃん掻っ攫われるぞ~?)」
そんな葵を余所に、キサは今ここにいない生徒会メンバー男子のことを心配していた。



