すべてはあの花のために③


『さ、最後の人たち、実は本物のカップルだったんじゃないでしょうか! 本当に、見ていてこっちが照れてしまうほど初々しかったです! ……さあ。まずはセンスが問われるファッションコーデでした! 続きまして、各参加者の“特技”を披露していただこうと思います! エントリーNo.1の女性の方~。ステージにお越しくださーい』


 そして、次のアピールにみんなが集中していった…………のだが。


「ど、どうしたのみんなして」


 葵が袖に帰ってくると、何故か反対側にいるはずのカナデまでこっち側に。そして何故か、男たちの機嫌が途轍もなく悪い。


「あ、わかった! 強敵が出てきたと思って焦ってるんでしょ~」


 カナデの肩をツンツンとしてみるが、表情は般若のように怖いまま。


「まさか、彼と一緒に歩きたかったのかツバサくん」

「違うわよ!」


 一体全体、どうしてこんなに機嫌が悪いんだか。


「アオイちゃん」

「うん。どうしたカナデくん」

「なんでさっきあんなに真っ赤だったの」

「え?」


「葵」

「な、なんだいアキラくん」

「なんで指絡ませてたんだ」

「な、なんでって……」


「アンタさあ」

「つ、ツバサくんも何か……?」

「なんでわざわざ交換しあったの」

「こ、交換し合ったと言いますか、代わりにくれたと言いますか」


「あのさあ」

「ひ、ヒナタくんまで?」

「…………」

「わ、わたし、何か気を悪くさせるようなことを……?」

「した」

「な、何を?」

「何嬉しそうにしてんのさ」

「え」


 彼らは葵の返答も聞かないまま、不機嫌のまま控え室に戻っていった。


「……あの、全部不可抗力……」


 体が勝手にそうなったんですけど? 生理現象ですよ? どうしろって言うんですか?
 言いたい放題の彼らに、今度は逆に葵が苛々。ずんずんと大股で控え室に戻り、葵も次の準備を進めたのだった。