ここからは司会進行の方の実況でお送りします。
『エントリーNo.12の方、どうぞ~』
そう言って向こうの袖から現れたのはなんと! この物語のはじめに進めてくれた、陽気な方の女の子じゃありませんかー!
『女性の方は白いニットのワンピースにベージュのダッフルコートを着ていて、とても可愛らしい! 可愛らしいのに反して、足下はボーイッシュにスニーカーでまとめています!』
出てきた女の子は、きっとアキラだと知らなかったのだろう。驚きを隠せないようで目を見開いたが、すぐに立ち直って笑顔になる。その頬は、ほのかにピンクに染まっていた。
『続きまして男性の方! 彼の服装はまさにカップルで合わせたかのように、白いニットを着て、パンツをベージュで合わせてきました! その上からネイビーのチェスターコートを着て黒いマフラーで決めてきました! とってもリッチな感じがにじみ出ています!』
ステージの真ん中で二人は向き合い、ランウェイへと進んでいく。
「アキ、手なんか繋いでるわよ」
「しかもちょっと笑ってない?」
アキラが生徒会メンバー以外の前で笑うなんて珍しい。しかも彼は先に彼女の前に手を出して、手を繋ぐのを促したのだ。
「本気なんですか、あれ」
「まあ、それもあるんだろうけど……」
「きっと誰かさんに重ねてるんじゃない、あの女子のこと」
そうしてアリーナの中心で、ランウェイの突き当たり。少し丸くなってるところで再度、アピールを行う。
『おーっと、ここで、男性は自分のマフラーを外し、彼女の首に掛けてあげます! これは嬉しい! 女性はそんな行動に驚きを隠せず! 真っ赤になってそのマフラーに顔を埋めてしまいました! それはそうなってしまうでしょう! 何故なら男性の方が、これでもかと言うほど愛おしげに笑ってくれているのですからあああー!』
どうしたんですか。彼の中には違う人が入ってるんですか?
そんなことを思いながらも、12番同士の二人はまた手を繋いで笑顔で帰ってくる。本気すぎるアキラに、三人はある意味で恐怖を抱いていた。



