「可愛い」
「――!? さ、左様でございますか……」
「今日このままデートに行こう」
「ぅえっ!?」
「ダメか?」
「「ストーップ!」」
押せ押せモードのアキラと、小首を傾げてくる可愛さに戸惑う葵の間に、九条兄弟が割って入ってくれる。
「(た、助かった。危うく了承するとこだった)」
「む。邪魔するな」
そんな葵とアキラを余所に、ツバサとヒナタはご機嫌斜め。
「アキ。今そんなことしてる場合じゃないでしょ」
「そうだよアキくん。今は集中」
「わかっている。でも、葵が可愛いのが悪い」
「!?」
そんなことを言うもんだからまた葵の顔が赤くなってしまって、二人の機嫌も悪化。
というのも、予想以上にコンテスト参加者のレベルが高かったのだ。
「これじゃあアタシが優勝するのもちょっと厳しいじゃないのよ」
「それだけはやめた方がいいと思うよ」
「参加者全員が泣く」
「確かに」
ツバサがミス側に出ることは事前に許可を得ている。理事長の影響からか、企画した方もきっと面白がったに違いない。
しかし、それとは別に余裕がないのにはもう一つ理由がある。大会に支障があってはならないと、今まで持っていた無線を企画者の人に外されてしまったのだ。
「(確かに不安だ。でも――)」
会場には彼がいてくれている。
自分が見られない分、しっかり辺りを見ていてくれるだろう。
「それじゃ、行ってくる」
アキラがステージに上がる。生徒会メンバーの中ではトップバッターだ。



