滲みそうになる涙を堪えながら、葵は控え室へと向かう。キサとツバサの姿が見えたので、こそっとそちらの空いている席で話を聞くことに。
「どこまで話した?」
「今始まったばっかりだよ」
よかった間に合って。
ほっと息をつき、葵も係の人の話を聞いた。
まずは、センスのチェック。【Christmas Date】をテーマとし、たくさんの服の中から自分でコーディネートする。
ファッションショーの要領で、同じ番号の女子と男子が同時にステージ袖から登場。その後、ステージから伸びたランウェイを歩き、中心まで行って戻ってくる。
出てきた相手とスムーズにデートを演出できるかも、評価の対象となる。
その次は、自分の特技をアピール。これはステージ上でできることなら何でも可。
最後はドレスコード。女子はドレスに、男子はタキシードに着替え、これもペアでランウェイを歩いて戻ってくる。化粧やヘアースタイルなどは自由。センスやタイムも問われることになる。
「(一体このコンテストに、何の目的が……)」
ぶち壊してくれようもんなら、ただじゃおかない。
さあ――コンテストのスタートだ。



