すべてはあの花のために③


「止め、ないの?」

「だから、早く行ってこい」

「あり、がとう……」

「おう」

「危ないことは、しないでね」

「そんなことになんのかよ」

「わからない。でも、チカくんにはもう。あんなこと……」

「無理はする」

「だから、それはダメだって」

「お前のためなら、無理でも何でもする」

「――! チカくん……」

「オレは、何度も女のお前に助けてもらってんだ。今度は絶対、オレが助けてやるから」


 とんと肩に触れた彼は、アリーナの方へ、頭の後ろへ手を組みながら歩いて行った。


「(……なんだそれ、なんだそれ)」


 格好いいこと、言わないでよ。