「止め、ないの?」
「だから、早く行ってこい」
「あり、がとう……」
「おう」
「危ないことは、しないでね」
「そんなことになんのかよ」
「わからない。でも、チカくんにはもう。あんなこと……」
「無理はする」
「だから、それはダメだって」
「お前のためなら、無理でも何でもする」
「――! チカくん……」
「オレは、何度も女のお前に助けてもらってんだ。今度は絶対、オレが助けてやるから」
とんと肩に触れた彼は、アリーナの方へ、頭の後ろへ手を組みながら歩いて行った。
「(……なんだそれ、なんだそれ)」
格好いいこと、言わないでよ。



