「(――え。……どう、して……)」
よく知る男女が、それぞれ見知らぬ男性女性寄り添いながら、子どもと一緒に幸せそうに写っている写真だ。
「(……わたしへの当て付けのつもり?)」
――今の二人は、こんなにも幸せそうに笑っているぞと。
「? どうかしたのか?」
ハッとして「何でもないよ」と、葵は他の写真を見にその場をすぐに離れていく。
不思議に思ったチカゼは、葵が見ていたところ付近の写真を探したが……至って普通の写真ばかりで、特に気付くことはなかった。
その後、美術室から帰ってきたアカネがほっこり笑顔だったのは言うまでもない。加えて。
「あおいチャン! マミリンの衣装があるんだってえ!」
写真館の衣装一覧看板を見た瞬間、アカネは叫んだ。
「あおいチャン、着て?」
「おいおい、それは流石にねえだろ……」
「(こくり)」
そんなことを言っているのを余所に、葵は少し考えて。
「よかろう!」
「なっ⁉︎」
「⁉︎」
「わーい! やったね!」
係の人にお願いして、葵はさっさと衣装に着替えた。
「どやあー!」
「すっごーい! 魔法少女マミリンに本当そっくりだあ!」
アカネの暴走に感化されたのか、今日の葵も暴走気味である。まあ、おかしいことは多々あるけれど。
「……出てくるの、早くね?」
〈一回前着てるからじゃない?〉
「さあ! わたしに願いを叶えて欲しいのは誰かしら~?」
「はいはいはーい! おれのをお願いマミリンっ!」
アカネ以外にもオタクがいたのか、しばらくフラッシュが止まなかった。



