すべてはあの花のために③


 1-Aの出し物は、プロジェクションマッピング。教室の前半分を利用して様々な映像を流していく。
 文化祭のテーマが【願】だったのと、生徒会が童話の仮装をしていたので、それに乗っかるような形でいろいろな童話の話が光となって流れていった。
 日本童話、イソップ童話、アンデルセン童話、グリム童話の中から一つずつ流しているようだ。

 葵たちは、できればA組とB組を全部回りたいと思っていたので、少しだけ覗いて教室から出させてもらった。


 1-Bの出し物は、フリーマーケット。このクラス全員だけじゃなく学校全体に呼びかけていたので、様々な分野の違うものがたくさん置いてあった。

 その中の一つに葵の目が留まる。それは切れたら願いが叶うと言われるミサンガだ。同じ模様の色違いが店の隅に並んでいた。


「(ちょうど9本あるみたい。でも、わたしには……)」


 葵たちはざっとどんなものがあるだけ見て、次の2-Aへ。


 2-Aは、例の写真館。衣装を着て、記念撮影をしたり、それとは別に音楽室いっぱいにいろいろな写真が飾ってあったり、美術室にはクラスの生徒が描いたのだろうか、たくさんの絵画が飾られていた。


「ちょっと美術室行ってきていいかな⁉︎」


 妙にテンションの高くなったアカネがオウリを引っ張ってそちらへ行ってしまった。その間葵とチカゼは、音楽室に飾られている写真を見ている。


「お前写真とか好きなん?」

「好きというのは烏滸がましいけど、綺麗なものを見るといいなって思――」


 その時葵は、とある写真を前に固まってしまった。