すべてはあの花のために③


「ミスコンに出てみたいんだけどっ!」


 みんなは目が点になった。


「思い出作りに! ミスコンに出ちゃったりしてみたいんですけど!」

「いや、生徒会主催の時間と被ってるし」

「そこをなんとか!」

「自分だけサボろうなんて許さねえよ」

「チカはあっちゃんのドレスアップが見たいんでしょ?」

「ばっ! ちっげーし!」

「チカむっつりー」


 チカゼがキサとヒナタにいじられてる中……。


「あおいチャン、どうしていきなりそんなこと?」

「(こくこく)」

「いやー、出てみたいとは思ってたんだよ? でもなかなか言い出せなくって。みんなだったら、後押ししてくれるかと思ったんだけど……」


 そう言いながら葵は、しゅんとなる。


「確かに、3-S主催のミスコンはギリギリまでエントリー可能なはずだが」

「でも飛び入り参加大歓迎! って言うぐらい、ハードルは低いはずよ?」

「……アオイちゃん、もしかして優勝狙いに行くの?」

「え? そりゃ出るからには、優勝狙いに行きたいよねー」


 葵がそう言うと、男性陣の動きが固まってしまった。


「あれ? ねえキサちゃん、みんなどうしたんだ?」

「あ。あっちゃんもしかして知らない?」

「ん? 何が?」

「ミスコンとミスターコンの優勝者同士はね、その場でキスしなくちゃいけないのよ~」
 (※ほっぺでも可)

「ええ⁉︎」


 そんなこと聞いてないんですけど!


「な、なんでそんなことを……?」

「あーそれはね、これもジンクスだからだよ」


 またですかー。一体何だっていうんですかー。


「ミスコンとミスターコンの優勝者同士がキスをしたら、二人は永遠の愛で結ばれるんだってー! だから、それに肖りたいらしいよ(笑)」

「(笑)って。そんなことのために、好きでもない人とキスしないといけないの……?」


 葵は項垂れてしまった。それは、みなさん。止めてくれてありがとう。