すべてはあの花のために③


「題名、【赤ずきんちゃん変態に襲われる】っと。保存保存」

「ヒナくん?!」
「ヒナタくん⁉︎」

「ハイハーイ。ごめんなさいねー。ラブラブなところを邪魔してー」

「そ、そんな。ラブラブだなんて。俺らは……」

「あー全然そんなんじゃないからー」

「ちょーっと! アオイちゃん⁉︎」


 葵が普通にそう言ったので、カナデが盛大に突っ込む。


「まあそれはどうでもいいんだけど」

「ヒナくんも酷いね……」

「みんな帰ってきたから明日の打ち合わせしようって」


「それじゃ」って言ってさっさと仮眠室から出て行ったヒナタ。そうして今頃になってまた、葵の顔色が悪くなる。


「……アオイちゃん。やっぱり体調悪い?」

「いや、……あの写真が魔王様のところに行ったら、わたし今度彼に会った時途轍もないことされそうな気がしてめちゃくちゃビビってるだなんて、そんなことあります……」

「うん?」


 意味がわからなかったカナデだが、首を傾げながらも葵の腕を引いて、みんながいる部屋まで引き摺っていったのだった。