緩められた手を、今度は葵が両手で包み込んであげる。何なら笑顔もつけてあげようじゃないか。
「だから、カナデくんにちゃんと見ててもらえて、わたしは嬉しかったんだけどな? どうしてそんなに怒っちゃったのかな? 悲しんじゃったのかな?」
「……! ……~~っ。ちょ、今。こっち見ないでっ!」
ありゃま。さっきまで殴っていた枕に顔を埋めちゃったよ。
「(君も可愛い部類に昇格だわ)」
葵はそう思いながらカナデの頭を、よしよしと撫でてあげた。
「……あおい、ちゃん……」
枕に顔を埋めたまま言っているので、よく聞こえないけど。
「ん? なーに?」
「おこって、ごめん」
「全然いいよー。でも、何でわたしはカナデくんを怒らせてしまったのだろうか」
「そ、れは……俺の勝手な思い違いだったので、深くは聞かないでください」
「はーい。じゃあ、悲しそうだったのも?」
「そういうことです」
そうですかそうですか。じゃあ、気にしないでおきましょうかね。
そうしていると、葵のスマホに通知が届く。
「(ん? メール?)」
葵は撫でている手は止めず、もう片方の手でそれを取り出す。
「(……え)」
そこには、知らないアドレスから、こんなことが書かれていた。



