低めの声で、咎めるように名を呼ばれた。
「俺が、守ってもらったって言ってんだ。それでいいだろ。十分感謝してるよ。だから少しくらいは自分を褒めてやれよ。これは多分、“あいつ関係”じゃないんだろ? そんなに言うなら、このことみんなにぶちまけるぞ」
「ええ!?」
「それで思う存分心配してもらえ」
「いっ、いやだ!」
「だったらそれでいいだろ。俺も言わないでおいてやるから。……だから葵。助けてくれて、守ってくれて、ありがとな」
「……っ。はい。ほんとうにっ。無事で。よかった、です」
ツバサは、また泣き出した葵を見て、ふっと笑った後、葵の頬に手を添える。
「……葵」
「……つばさ。くん……?」
ツバサの顔が、だんだん視界いっぱいに広がってきている気がした葵は、涙を溜めていたからよくわからなかったし、わけがわからなくて、思い切り目を閉じた。その時だった。
『職務放棄野郎は今どこですかー』
『オレが悪かった! 悪かったから帰ってきてくれーっ!』
ツバサの無線からはアキラの声が。葵の無線からは、さっきのことを言っているのか、チカゼの声が狭い部屋に鳴り響く。
「……ぷっ」
二人は目をパチパチと見合わせた後大笑い。
「あら~アキ? ちょっとねー。あまりにもしつこい男がいたのよ~。逃げてたらアタシ、どうやら寝ちゃってたみたいなのー」
『それは自業自得だろう』
「チカくん? わたし、全然怒ってないよ? 寧ろごめんね? 今から生徒会室戻るね?」
『ほっ、ホントか? オレ、お前に嫌われたらって思っ――』
やっぱり言ってることがよくわからなかったので、最後の方はちゃんと聞かなかった。
『というか、今どこ?』
『お前今どこにいるんだよ!』
二人にそう言われて、葵とツバサは目を合わせた後。
「葵と一緒にいるわよ?」
「ツバサくんと一緒にいるよ!」
同時にそう言うと、「はあ?!」っていう二人の声が響き渡った。



