すべてはあの花のために③


 不甲斐なさで泣きそうになったツバサの頭が、葵の肩に乗っかってくる。


「……つばさ。くん……?」

「……俺は。お前の力になることも、できない」


 ぐっと力を入れて、葵を強く、強く抱き締める。


「……そんなこと。ないよ。つばさくんがいてくれるから、わたしは自分の感情に。素直に、なれるんだよ? だって。きかないでいてくれる、から。くらい、きもちも。つばさくんが受け止めてくれる、から……」

「……ん」

「ちゃんと、わたしのこと。きづいて、くれて。見てて、くれて。わたしは、心強いよ? わたしは、そんな友達がいてくれて。とっても幸せ者。だ」

「……ああ。ちゃんと、お前のこと見てるから。気づいてやるからな? だから、苦しかったらちゃんと吐き出せ」


 そうしてお互いがお互いを抱き締めながら、背中をさすっていた。
 そうして、落ち着いた頃……。


「……やべえな」

「? どうしたのツバサくん」


 葵がそう言って少し離れようとしたが。


「マジでこれ、何なんだよ」

「……今日は男の子モード長いんだね?」


 葵がそう言うと、ツバサの抱き締めている手に力が入る。


「今言うなよ。頑張って抑えてんだから」

「え? 何を?」

「んんんん~~……ッ」


 ツバサはというと、片手で顔を押さえて唸っている。


「はあ。……何なのお前。格好よすぎ」

「えっへん! お褒めのお言葉ありがとー」

「本当に俺、守ってもらったのか」

「守れてないよ」

「何言ってんだよ。無事にこうして――」

「こういうことに巻き込んでしまったんだ。守れてない」

「葵」

「!」