「イイ! イイですよ! そのまま! そのまま動かないでえ!」
そこには、たくさんの男子生徒に囲まれながら写真を撮っているシンデレラがいらっしゃった。
「えーまだ撮るのー? 流石にもう交代時間なんだけど……」
「も、もうちょっとだけ! ダメですかね? ネイルボトルもう一本追加します!」
「よし乗った! ……じゃない、もうちょっとだけね〜?」
そう言って、また違う生徒と写真を撮り始めるシンデレラ。
「お、おいシンデレラ? あなた、ここで何をしていらっしゃるの」
危うく本性を出しそうになったが、頑張って立て直した。
「あっちゃん! え? ここにいちゃダメだよ!」
「それ、そっくりそのままあなたに返しますけど」
葵がそう言うと、「えー」って非難の声を上げるキサ。
「それで? どうしてあなたはこんなところで、仕事もせずいっぱいワイロをもらって写真撮ってるんですか? ええ?」
「あれ。もしかしてあっちゃん、ぷんぷん丸?」
「そりゃ怒りたくもなります! 今ポイント誰もいないんですよ! そのせいで今まだ一組しかゴールできてないんです!」
「? それだったらあたしじゃないよ?」
何言ってらっしゃるのシンデレラって、正直思ってしまいました。すみません。
でも、彼女は大きな爆弾を落としたのだ。
「あたしがここの人たちに勧誘されてる時、秋蘭に相談したの。まだ時間も早かったし、ここまで必死に誘ってくれてるからさ? あたしもこっちの手伝いになるんならと思って」
そしたら、「じゃあ空いてる人に行ってもらうから、取り敢えず紀紗は先にそっち行っていいよ」って。
「そう言われたから、あたしはこっちに来てたんだけど」
「……じゃあ、キサちゃんの代わりの人がいるってこと?」
「うん。そういうこと」
でも誰も、そこにはいなかった。



