父―――母――――母―――父――叔父
|(姉) (妹)|(兄) (弟)
ぼく 桜李
「こんな感じ」
「オウリくんは、叔父様と暮らしているんでしたね」
「うん。そうだよー」
「……わかりました。これで最後にします。『氷川』は理事長の『 』ですか」
「え? 最後でいいの?」
「ええ。もう十分聞いたので」
「ぼくもまだ知ってることあるよ?」
「きっとそれはわたしも知ってるので、大丈夫です」
葵がそう言うと、彼は眉を顰める。
――どうして知っているのかと、その視線が問うていた。
「大丈夫です。別に誰かから聞いたとか何かしたとか、そういうことではないです。偶然知っただけ……いいえ。そうじゃないかなと思っただけなので」
だから早く教えてくださいと睨むと、理事長はため息をついて教えてくれた。
……それを聞いた葵は、ゆっくり目を閉じる。
「ありがとうございました理事長。後は任せてください」
葵はさっと立ち上がって扉の方へと歩いて行く。
「葵ちゃん。無理は、しないでね」
心配そうな理事長を振り返る。
「ごめんなさい理事長。わたし、無理をするって決めたんですっ」
けれど葵の顔には、満面の笑顔しかなかった。



