すべてはあの花のために③


 父―――母――――母―――父――叔父
   |(姉)  (妹)|(兄) (弟)
   ぼく       桜李



「こんな感じ」

「オウリくんは、叔父様と暮らしているんでしたね」

「うん。そうだよー」

「……わかりました。これで最後にします。『氷川』は理事長の『    』ですか」

「え? 最後でいいの?」

「ええ。もう十分聞いたので」

「ぼくもまだ知ってることあるよ?」

「きっとそれはわたしも知ってるので、大丈夫です」


 葵がそう言うと、彼は眉を顰める。
 ――どうして知っているのかと、その視線が問うていた。


「大丈夫です。別に誰かから聞いたとか何かしたとか、そういうことではないです。偶然知っただけ……いいえ。そうじゃないかなと思っただけなので」


 だから早く教えてくださいと睨むと、理事長はため息をついて教えてくれた。



 ……それを聞いた葵は、ゆっくり目を閉じる。


「ありがとうございました理事長。後は任せてください」


 葵はさっと立ち上がって扉の方へと歩いて行く。


「葵ちゃん。無理は、しないでね」


 心配そうな理事長を振り返る。


「ごめんなさい理事長。わたし、無理をするって決めたんですっ」


 けれど葵の顔には、満面の笑顔しかなかった。