すべてはあの花のために③


「『あたたたたたたたたたああ~ッ!!』」

「(?!?!?!)」


 叫びそうになったアカネは、バレては元も子もないと必死に声を押し殺す。


「(あおいチャン何やってるのおー……!)」


 いやわかるよ!? 中途半端に見てると、最後まで見たくなる気持ちはっ!


「(大事な用事って、アニメの続き見ることだったのおー……)」


 なんだかアニメに負けたオウリが可哀想になってきた。


「よーし! こんなものかなー。やっぱりアニメみたいには早く突けないんだよねー」

「(まさか技の練習してたわけ!? もおー。何してんのお~……)」


 どうやら葵は、アニメの続きを見ると言うよりも、何度も同じところを再生して技を極めているようだ。

 葵の用事がそんなことと知ったアカネは、とぼとぼ……と落ち込みながら生徒会室から立ち去った。


「(時々さ、あおいチャンの神経疑うよね、うん)」


 おかしいな。さっきまで彼女の好感度が急上昇してたはずなのに。
 一気にどん底まで落ち込んでしまったアカネである。


「(まあ? 何か考えがね? あるのかもしれないじゃん? これから敵と戦いに行くのかもしれないしね? 『あべし』とか『へぶし』とか言わせてやるぜえーってね? ……思ってるかもっ。しれないっ。じゃんかあ~……)」


 その後アカネは、泣きながらオウリの家まで走って行ったとさ。