すべてはあの花のために③


 それから一年が経って、おうりも小学校に上がった時、みんなと仲良くなったんだ。
 その時もまだ無表情だった。一生懸命稽古をしたおかげで、体は強くなったけど。

 ……最初のおうりは、ほんとうに痩せ細ってたから。
 おれは、弟ができたみたいだった。それで、体はシャンとしてきたんだけど、まだ笑った顔は見たことなくて。


 みんなと仲良くなってから、たくさん話しかけられるようになって、おうりは困ってた。そんな時にね、献身的におうりのそばについててあげてたのが、きさチャンだったんだ。

 きさチャンは、おうりに相手に伝える方法を教えてあげてた。それが〈文字〉にすること。
 だからおうりは、伝えたいことがあった時一生懸命文字にした。今までおうりの表情は動かなかったし、実際のところどんなこと思ってるのかなんてわからなかったんだ。

 でも、おうりが最初に書いた文字を見て、おれらは笑ったんだ。そうしたら、そのおれらの顔を見ておうりも少しだけ笑った。