そうこうしていると、スタンプラリーの参加者で無事に辿り着いた人が入ってきて、ぎょっとされてしまった。
大慌てで答え合わせをして、大正解だったので、賞品を渡してあげた。その間泣いてたオウリはぼうとしていて、「どうする? 警察呼ぶ?」っと言う声が聞こえたので大急ぎで退出してもらった。
参加者が出ていって、また二人になると、二人は目を合わせて笑った。
すると、オウリがにこにこしながら文字を打ち出して、どうしたのかな? と思ってると。
〈あーちゃんに聞いてたのにね~
いつの間にかおれが
自分の気持ちを確かめてたね~〉
話を自分から逸らしてしまって、申し訳ないと思っていたのに、彼はすっごいにこにこしてたので、そんなことも言えなくなってしまった。
〈おれはね! 今すっごい幸せ!
でも確かに話せたらもっと
幸せかもしれないって
改めて気づかされたよおー〉
葵が頷くと、またにっこり笑って打ち出す。
幸せそうで何よりだ。
〈幸せだけど
ここの奥にね~?
冷たいのがあるんだー〉
そう言って彼は自分の胸に手を当てる。でも、顔は笑顔のままだ。
〈誰にも言えなかった
多分冷たくなってるっていうのは
みんな気づいてると思うよ?
じゃないと話すもんねー普通は
でも、気づいて欲しくなくって
心配して欲しくなくって
隠してたんだあー
それなのにあーちゃん
普通に言ってくるんだもん
おれビックリして
大泣きしちゃった〉
楽しそうに画面を見せてくる。
いや、流石にズバズバ言って申し訳ないとは思ってるよ?
〈でも一緒に冷たいの
溶かしてくれるって言ってくれたから
おれも頑張ってみよーかなって思った!
あーちゃんにおれの声
聞いて欲しいんだあ♪〉
前に一度、魘されている彼の声を聞いたことがある。
でも、そんな声より、彼の楽しそうな声が聞きたい。
〈だから
そんなことをおれに言ってくれたお礼に
今度でいいからおれの昔話
聞いてもらえる?〉
彼はどれだけ、あの時のことを言い触らしているのやら。
「(ま、そんな嬉しかったなら、わたしも万々歳ですけどね)」
それに、彼も溶かそうと。自分から動いてみようと、そう言ってくれた。
「うん。そんなの当たり前だよ! みんなにもオウリくんの声を、届かせてあげようね?」
笑顔でそう言ってあげたら、オウリの顔がどんどん赤くなっていったので、どうしようかと思ったけど〈今のは無しでしょ〉と言われ、葵は首を傾げていた。



