すべてはあの花のために③


 不意に届いたあのメッセージを思い出し、脳内に問い掛ける。


「(……あれは、絶対忠告だったよね)」

((キットそう。どこかでまた見テル))

「(そうだよね。……わたしが幸せになんて、やっぱりなれないのかな……)」

((……そういえバ))

「(ん?)」

((キット読者のみなさんもビックリしてる))

「(な、何が?)」

((知らない人、二人も出タ。しかも両方にキスされてルシ))

「(そ。そんなことも。あったねえ……)」

((しかも嫌がらないッテ何。作者もビックリしてル))

「(いや、書いてるの作者……あ。あと、これも読者さん気づいてるんじゃない?)」

((ん? ナニガ?))

「(だからそれ! あなたの声、最近ちょっと聞きづらくなってるんだけど!)」

((そうネ。ちょっト変換大変ナノよ))

「(いや、無理にしなくても……違うか。そういうことか)」

((ウン。そういうコト))

「(だから最近あんまり話せなかったんだね。突っ込みも不在多かったし)」

((…………))

「(あなたがここまでなっちゃうとなると、本当にヤバいかも……)」

((だからワタシも忠告しにきたヨ))

「(そうだよね、やっぱり。でもまだ理事長の願いが達成できてないし……)」

((ギリギリって感じダ))

「(そっか。それなら頑張れる。わたしも、まだみんなと一緒にいたいもん)」

((ワタシもそうさせてやりタイモン))

「(うん、ありがとう! ……また、大変になったら出てきてくれるんでしょう?)」

((そのつモリ。それ以外はモウ、ここでツッコまなイ))

「(わたしも気をつけるね。わざわざ話してくれてありがとう。天の声さん)」

((天……まあイイか。これだけは、言ってオク))

「(ん? 何。重要なこと?)」

((うん。これは知っておいた方がいイ))

「(……ごくん。な、何かね……)」

((……お○松〇ん、シントが録画予約しテタ))

「(マジかー! やっぱり電話しとけばよかったあー! ありがとうシント! メールで済ませてごめん!)」


 帰ったら、存分に褒めてやろう!
 給料も上げてもらえるよう交渉してやるからな!

 と、心に決めた葵であった。


 その後、先生の病室へ戻った葵。


「(あれ。オウリくんがいない)」


 さっきまで眠っていたはずのオウリが、そこにはいなかった。


「(みんなはあのままか……)」


 よっぽど疲れていたのだろう。カナデの家ではしゃぎまくり、ユズと会った時も、なんだかんだで遊びまくっていた。


「(ははっ。みんなの寝顔可愛いなあ~)」


 今こそ写真に収めておきたいと思ってしまったけど、起こしちゃ悪いと思った。
 先生が掛けたのであろう、毛布が擦れ落ちている人たちにしっかり掛け直してあげる。


「……みんな、ありがとう。こんなわたしの傍にいてくれて。我が儘、聞いてくれて。……あともう少しの辛抱だからね。それまでどうか、もう少しだけ。……わたしの我が儘に、付き合ってね」


 葵は、開きっぱなしになっていた窓へ足を進める。


「……ねえ。あなたはしってる?」


 葵は、ライブで歌った歌詞を、小さく呟いた。


「こんな素敵な物語。ひとつの花のお話を……」


 葵は歌詞を口ずさみながら、窓の向こうの、真っ暗な世界を見つめていた。


「……花はどんどん黒くなる。汚くなる。小さくなって、最後は笑って消えるのよ」


 葵はそう呟きながら、歌詞と同じように笑ってみた。


「だって花はっ。たくさんの花が幸せで。とっても。嬉しいのっ、だから……っ」


 でも、上手く笑えなかった。
 ううん。笑うことなんてできなくて、涙ばかりが流れてしまう。