「道明寺さん。私に、何か手伝えることはある?」
「え?」
どうしてそんなことを?
葵は、そう尋ねられる理由がわからなかった。それこそ、今度こそ目を見開いたまま固まる。
だって彼女とは、何の関係もないじゃないか。さっきはあんなに敵意剥き出しで、こちらに食ってかかっていたのに。
「……道明寺さん宛の郵便を預かっているの」
「え」
手伝えること――からどうしていきなり、郵便の話に?
これこそ本当にわけがわからない。
「さっきお手洗いに立ったの。そして帰ってきたら、この封筒がそこの台の上に置いてあった」
「――……!」
彼女が取り出したのは、【真っ赤な封筒】だった。
「申し訳なかったけど、中は見させてもらった。外にはあなた宛としか書かれてなかったけど、少し……いえ。随分と不気味だったから。私は読まない方がいいと思う。先に言っておくわ。でも決めるのはあなた。……どうする?」
彼女は、中指と人差し指でその不気味な封筒を挟んで、葵の方へと差し出す。
葵は、その不気味な封筒に吸い寄せられるかのように一歩、また一歩と、彼女の方へ歩き出す。
そして、ベッドサイドに行き、手を出した。
「読みます。読ませてください。わたしには、読まないといけないものだと思うので」
先生はため息をついた。
「本当にいいの? 私はこれを見ていい気はしなかったし、寧ろ今も気分が悪いわ。それでも……いいのね」
「それでも、今のわたしが読まないといけないものだと思いますから」
先生はしっかりと葵の視線を確認してから、しっかりと葵の手に、その封筒を握らせる。
「ここに座りなさい。私が傍にいてあげるわ」
そう言って促すのは、彼女が入っているベッド。葵はゆっくり頷いて、一緒のベッドに入れさせてもらった。
そうしてゆっくり息を吐いた後、葵は震える指を押さえながら、封筒を開いた。



