「――はっ! お○松〇ん録画するの忘れてたっ!」
ガバッと起き上がると、そこは橙色の電気が点いた真っ白な部屋。
「(……あれ? ここはどこ? わたしはあおい)」
目を覚ましてすぐ、葵は目を丸くする。ベッドへ俯せになって寝ていた、アキラ、カナデ、アカネ、オウリ、チカゼ。壁際に椅子を並べ、壁にもたれかかるように眠る、ツバサ、ヒナタ、キサの姿があったから。
「……わたし、どうしたんだっけ」
「過呼吸で倒れちゃったのよ」
返事が返ってくると思わなかった葵は、目の前のベッドを起こして微笑んでいる先生を凝視する。
「……そう、ですか」
そういえばスマホはどこにやったっけと思ったら、すぐに枕元に置いてあったのを見つける。
「(よかった。パスつけておいて)」
アキラには電源を落としたところを見られていただろう。そう思っていると、また先生から声が掛かる。
「葵さん……いえ道明寺さん。少し、私とお話してくれるかしら」
「――!」
『あおい』としか名乗っていないにも関わらず、彼女は何故葵の名字を知っているのだろうか。
「……嫌だと言ったら?」
「そう。でも逃がさないわ。私には生徒を守る義務がある」
「――――」
目の前の彼女は、完全に敵視している目でこちらを見ていた。
葵は、みんなを起こしてしまわないようゆっくりとベッドを降り、彼女の方へと歩み寄る。彼女の領域には踏み込まなかった。その様子に先生はクスッと笑った後、やわらかく微笑む。
「そんなに警戒しなくてもいいのに。ちょっと聞きたいことがあっただけよ?」
さっきとは明らかに態度が違う。
だからこそ葵は用心して、距離は空けたままにした。
「……何でしょうか」
「あら。嫌われちゃったかしら。……体調はもう大丈夫?」
本当に心配してくれているようだった。
「はい。ご心配をお掛けして申し訳ありませんでした」
「いいえ。みんなも心配してたから、あとでお礼言ってあげてね。こんな時間になっても目が覚めないあなたのこと、付きっ切りでみていたんだから」
そういえば、今何時だろう――そう思って病室の時計を見ると、今まさに日付が変わろうとしていた。
「……わたしたちがここに来たのって夕方じゃ……」
「よく眠っていたわ。みんなも頑張って起きてたんだけど、途中でギブアップしたみたい。今日は他に何か疲れるようなことしてたの? 10時ぐらいには死んだように寝てしまったわよ」
わー。悪魔さんとかオカマさんに文句を言われそー。



