――パンッ!
「――!」
こうやって、手を叩いてくれるのは一人しかいない。
「……あきら。くん……」
葵は咄嗟に握っていたスマホの電源を落とす。それにアキラは眉を顰めたが、深くは聞いてこなかった。
けれどアキラの出した大きな音で、みんなの視線はこちらに向いていた。徐々に心配そうな視線が集まる。
「……葵。どうした。何があった」
……何がそんなに、おかしなことがあるんだ?
そんなの、わからないようにちゃんと隠して――――。
「アオイちゃん!」
葵は今まで緊張していたせいか、ふっと足の力が抜けた。隣にいたアキラと近くにいたカナデに支えられる。
「葵。大丈夫か。わかるか」
ははっ。一体、何言ってるんだ、アキラくんは。
そんなの、わかるに決まって……。
「アオイちゃん! ゆっくり! ゆっくり息して!」
カナデくんも。何、言ってるんだよ。
ちゃんと。息だって、してる……からっ。
「過呼吸だ! センセ! ナースコール!」
遠くでなんか、チカくんが喋ってるなー。
あれま。先生もナースコールまでしてるし。
大丈夫だよー。初めてのことじゃないし。こんなのすぐ治まるから――――。
「――葵!」
「アオイちゃん!」
病室にも関わらず、大きな声で叫んだみんなの声は、気を失った葵の耳には届かなかった。



