すべてはあの花のために③


「っていうのは半分冗談だけど、……これからも友達でいて欲しいな」

「お。……おともだち、だったの?」

「え? そうだよ~」

「……そっか。ユズちゃんは友達だあ!」


 二人がそう笑い合っていたので、まわりは何とか落ち着いてくれた。
 そうこうしているうちに、バスが到着。


「あおいちゃんっ」


 そう言って彼女は両手を離してにっこり笑った後。


「あたしも前に進む! まあ、やっぱりかなくんしかいないと思ったら、もう一回アタックしてやるけどねー!」

「ははっ。うん! とってもいいと思う!」


 後ろでカナデが慌ててるような気がするが、まあ放っておいて。


「どっちが先に恋に落ちるかな」

「それはどうだろう?」

「こればっかりはわっかんないよね~」

「うん。そうだねー」

「また一緒にお話ししようね! 絶対に!」


 その言葉に、言葉は返さなかったけど、にっこりと笑っておいた。


「女子会しよー!」

「女子会! してみたい!」

「じゃああたしの家でやろう。お母さんも入れて!」


 キサも入ってきて女子たちは大盛り上がり。


「おーい。名残惜しいのはわかるけど運転手さん困ってるよー。連絡先交換しておいて、また会えばいいんじゃないー?」


 まともなことをカナデに言われてとっても悔しかったが、みんなで目を合わせて笑い合った後、ささっと連絡先を交換してユズとは『さようなら』をした。

 バスの運転手さんは、葵たちしかいなかったので笑って許してくれた。 席に着くとみんなが『ユズには近づくな!』とか何とか言ってきたが、「ユズちゃんは友達だ!」と一喝しておいた。

 小さく縮こまったみんなに、キサと目を合わせて二人で笑い合う。
 葵のスマホの連絡先――お友達グループに、また新しい名前が増えたのだった。