「っていうのは半分冗談だけど、……これからも友達でいて欲しいな」
「お。……おともだち、だったの?」
「え? そうだよ~」
「……そっか。ユズちゃんは友達だあ!」
二人がそう笑い合っていたので、まわりは何とか落ち着いてくれた。
そうこうしているうちに、バスが到着。
「あおいちゃんっ」
そう言って彼女は両手を離してにっこり笑った後。
「あたしも前に進む! まあ、やっぱりかなくんしかいないと思ったら、もう一回アタックしてやるけどねー!」
「ははっ。うん! とってもいいと思う!」
後ろでカナデが慌ててるような気がするが、まあ放っておいて。
「どっちが先に恋に落ちるかな」
「それはどうだろう?」
「こればっかりはわっかんないよね~」
「うん。そうだねー」
「また一緒にお話ししようね! 絶対に!」
その言葉に、言葉は返さなかったけど、にっこりと笑っておいた。
「女子会しよー!」
「女子会! してみたい!」
「じゃああたしの家でやろう。お母さんも入れて!」
キサも入ってきて女子たちは大盛り上がり。
「おーい。名残惜しいのはわかるけど運転手さん困ってるよー。連絡先交換しておいて、また会えばいいんじゃないー?」
まともなことをカナデに言われてとっても悔しかったが、みんなで目を合わせて笑い合った後、ささっと連絡先を交換してユズとは『さようなら』をした。
バスの運転手さんは、葵たちしかいなかったので笑って許してくれた。 席に着くとみんなが『ユズには近づくな!』とか何とか言ってきたが、「ユズちゃんは友達だ!」と一喝しておいた。
小さく縮こまったみんなに、キサと目を合わせて二人で笑い合う。
葵のスマホの連絡先――お友達グループに、また新しい名前が増えたのだった。



