すべてはあの花のために③


「……っ。なれるものなら。なりたい……っ」

「あおいちゃん⁉︎」
「あっちゃん⁉︎」


 ぽろぽろ。ぼろぼろと。涙を零す彼女に駆けていき、ユズは葵の頭を抱える。


「(あおいちゃん。なんで泣いて……)」

「(あっちゃん。そう言うってことはやっぱり……)」


 二人は目を合わせる。
 ――――きっと、同じことを思ってる。


「「(したくてもできない『何か』があるのか)」」


 二人は流石にこれ以上講義はできないと断念。
 でも少しだけ、もうちょっとだけ伝えておきたいことがあるユズは、葵の頭を撫でながら、ゆっくり話した。


「一番最初に言ったこと、覚えてるかな。あたしが、二人の間に割り込んできた時のこと」


 葵は声を出さない代わりに、ユズの服をぎゅっと掴んでくる。


「(……あおいちゃん、こういう仕草がツボの子もいるって、わかってないんだろうなあ)」


 的なことを考えていたら、キサが睨むように見てきたので、慌てて続きを話す。


「恋は落ちるもの。……恋と愛の違いって、あおいちゃんは知ってる?」


 葵はただ、首を一回横に振るだけ。


「これは、一般的に言われてるものとあたしの考えが混じってるから、解釈はあおいちゃんに任すんだけど……」


 一度断りを入れてユズが話すのは、『恋』と『愛』の違い。