けれど、だんだん彼女の顔が歪んでいってしまう。
「……前に、進んじゃったって。思ったんだ」
「ユズちゃん?」
「あんた、やっぱり……」
急にテンションが低くなってしまったユズに、驚きを隠せない。
「さっき、言ったの。『今も、あの時からずっと、好きなんだ』って」
「柚子、あんたまだ圭撫のこと……」
彼女は、ロザリオをぎゅっと握り締める。
「『もう、俺は前に進んだから』って。苦笑いしてた。だから……ああ、もうあたしは彼の隣を歩けないんだって。悲しいわけじゃないよ? 前に進んでくれて、本当に嬉しい! ただ、寂しいなって。そう、思ったんだ。これが返ってきたってことは、あたしはもう……いなくても大丈夫なんだって、言われたような気がして」
ユズは前屈みになって、涙を必死に堪えている。
そんな彼女の背中を、キサがやさしく撫でている。
――その時。葵は何を思ったのか、勢いよく立ち上がった。
「え? あっちゃん?」
「ど、どうしたの? あおいちゃん」
葵の背中は、何故か今から戦場に出向くような勇ましい背中だった。
「こんな可愛いユズちゃんを泣かせるなんて! わたしが絶対に許せないっ!」
「月に代わってお仕置きして来るっ!」と言い残し、葵はカナデの元に駆け出していった。



