「ぐえーッ!」
本日二度目。襟を掴まれて、部屋の中に引き摺り込まれてしまった。
「折角出られたんだからさ、こっちは杜真くんより喋りたいわけよ」
担いでベッドに放り投げられた葵は、顔面からベッドへダイブ。
「ぶふっ! ……は。鼻が。ただでさえそんなに高くない鼻が……」
只今、一生懸命摩ってます。
「連絡するならメールじゃなくて電話にしてよ。ただでさえそんなに出てこないレアキャラなのに、メールだったら【一通メールを送った】で済んじゃうじゃん。お前は俺を今巻出さないつもりだったの?」
「そんなのわたしのせいじゃないし。作者の気分だし」
シントは肩をぐるぐる回しながら、葵が座っているベッドへ腰掛ける。
「アキもさ、電話してきてくれたのに俺との会話描かれなかったんだけど。ほんと、出られてよかったわ~」
「今巻キク先生はまだ一言も喋ってないよ」
シントは「よっしゃ!」とガッツポーズ。なんて低レベルな争いか。
「理事長はちょっと出たけど、やっぱりキャラ濃いねあの人。一言喋っただけで十分だわ」
「理事長に負けるとか、めっちゃ腹立つ……」
シントは葵の枕をぶん殴っている。
「トーマさんも電話だけだから、よかったじゃん?」
「まあそうだけどさーあー」
やっぱりサブキャラ感が否めないのか、シントはしゅん……と寂しそうに。
「ていうかシント仕事は? だからと思ってメールにしたんだけど」
「葵よりも優先するべき仕事なんてないし」
自信満々に言ってくる、彼もどうやら吹っ切れてしまったようだ。
「ちゃんと仕事しないなら減俸です」
「お任せくださいませお嬢様」
「……アキラくんとは何話してたの?」
「え? ああ、今日は今からまたどっか行くから、この作品出るならこの三時間が勝負だって言われた」
「あ。そ、そうなんだ……」
どうやらアキラのアドバイスによって、彼は仕事を中断してまで葵の部屋で待っていたらしい。
なんという執念。そしてなんという兄思い。



