ようやく腕を放してくれた二人は、頭をガシガシ。なんだか話したくない様子。
「あー……多分だぞ? 真っ先に行った二人は、あいつに惚れ込んでんじゃん?」
「ほう。自分たちはそうではないと」
キサの指摘にぴくっと肩を揺らし、二人はそっぽを向く。
「あの三人もなんだかんだで、あいつ好きじゃん。だから、いつでも攻められるように陰で動いてやるって、そういうことだと思う」
「そうか。みんなの気持ちが落ち込んでないならいいや。……それだったら二人は、なんであたしを送ってくれるんだ?」
きっと二人も、さっき何があったのか知りたくてたまらないんだろうけれど。
「……オレらガチで眠ぃんだよ」
「そう。超寝不足」
「どうして? 一緒のタイミングで布団入らなかったっけ?」
顔色が悪い理由はわかった。けれど、そう尋ねると二人は目を合わせた後、大きなため息をつく。
「お前は先に寝たから知らないだろうけど、他の奴らはあいつんとこに行こうとしてたんだよ」
「だからオレらが一晩中見張ってたの。だから寝てないの。だから眠いの。わかった?」
二人はそう言って肩を落としながらトボトボ……と歩いて行く。
「……だから朝、またお風呂に入ったと」
「そういうこと。まあ入ったのは別々だけど」
「眠気覚ましに。でもやっぱり朝方少し寝ただけじゃ足りないから、12時までは寝てくるよ」
そう言った二人は同時に欠伸をしていた。
よっぽど神経使っていたんだろう。お疲れの様子だ。
「(だがしかし、ここで納得するキサ様ではないのだっ!)」
こほんと小さく咳払いをして問い掛ける。
「それで? あたしを送ってくれる本当の理由は何かな。弟1号2号?」
キサがそう尋ねると、二人はまた照れくさそうにそっぽを向いた。
「……ッ。そんなん、決まってんだろ」
「てか、いちいち話すわけないでしょ」
二人はかろうじてそう言ってスタスタ歩く。
「ふふ。可愛い奴らめ」
キサは前を歩く二人のちょっと、小さくなっている背中を見て、思わずクスッと笑ってしまった。



