すべてはあの花のために③


 言い切る前に、アキラとカナデは猛ダッシュで葵を追いかけに行った。


「あれ? あんたらはいいの?」


 キサは、ぴくりとも動かず自分の傍にいるツバサ、チカゼ、アカネ、オウリ、ヒナタに声を掛ける。


「おれら家遠いし~。稽古したからシャワー浴びたいもんね~おうり?」

「(こくこく♪)」

「アタシも~」


 三人はそう言って歩き出してしまった。
 キサの頭には案の定、ハテナが浮かんでいる。


「な、なんで追いかけないの?」


 発破が足りなかったのかと三人にそう問いかけると、彼らは振り向きながら答える。


「俺は違う方面から攻めるから」

「おれらはおれらで考えがあるから~」

「♪~♪」


 そう言った彼らの顔は、とっても大人びていた。
 どうやら彼女のこととなると、彼らは子どもにも大人にもなれてしまうようだ。

 昔からの友人の新たな一面を見られて、キサはなんだか胸がいっぱいに。


「それで? あんたらはどうするんだ?」


 未だに動かないチカゼとヒナタに声を掛けるキサ。何故だか彼らの顔色はあまりよくない。


「オレらは帰って一眠りする」

「同じく」


 そう言ってキサの腕を掴んで歩き出す。


「ええ?! ちょっと。手を取る相手間違ってる!」


 そう言っても彼らは離そうとすらしてくれない。


「こっちは眠ぃんだよ。さっさと歩けや」

「キサ短足」

「うるさい!」


 そう言いつつも、彼らはそわそわしているよう。


「ど、どうしたの……?」


 顔色はあまりよくなかったけど、顔は真剣そのもの。


「……さっきあいつ、マサキさんと何話してたかわかったか」

「え? どういうこと?」

「多分だけど、何かマサキさんに言われてた。……その後、一瞬空気が張り詰めた気がして」

「(どうしてそんなことまでわかるのよと、存分に突っ込みたいところだけど)」


 葵のちょっとした変化にも、気づいてしまうんだろうと思うと、嬉しい気持ちでいっぱいになる。


「あいつ、またなんか隠してるぜ」

「アキくんとカナは、送りたかったのもあると思うけど、またなんかあっちゃいけないと思って追いかけたんだと思う」

「そうだったのか。じゃあさっきの三人は?」


 キサが尋ねると、二人はなんだか呆れたような顔に。


「あいつらも多分送りに行った」

「へ? でも全然違う方に……」

「わからないようについていくつもりだと思う。何かあったら飛び出せるように。言わなかったのは牽制じゃない?」

「……牽制?」