お世話になった五十嵐組の方々へ深くお詫びと感謝を告げ、一時帰宅することに。
最寄り駅までマサキが車で送ってくれることになったが、車の中では何故かみんな一言もしゃべらないし、葵から頑張って距離を取って座っていた。
駅に着いて車から降りた後、葵は改めて運転席に座っているマサキにお礼を言いに行った。
「マサキさん、今回は本当にありがとうございました」
「へあ?! あ、……ああ。ぜ、全然っ⁉︎ きっ、気にせんで、ええでっ⁉︎」
「さっきのはわたしとシオンさんの演技なんで、そんなに怖がられると寂しいんですけど……」
「へ? そ、そうなん?」
明らかに彼はホッとした表情になった。
「ありがとうはこっちの台詞や。ほんま、葵ちゃんでよかった」
「そう言ってもらえて、わたしも嬉しいです」
それじゃあと言って離れようとしたら、マサキに腕を掴まれる。
「……マサキさん?」
「葵ちゃんのこと好きやけど、俺のは恋愛やないからな。せやから、本気のあいつにはちゃんと応えてやってな」
「はい。もちろんですよ」
「そうか。それならええ。……それと、もう一つや」
そう言って彼は葵をぐっと引き寄せ、耳元で話す。
「多分やけど、またつけられとるで」
「――!」
振り向こうとした葵の頭は、ぐっと抱えるように引き寄せられた。
「わからんけどな。でもなんや、嫌~な感じや」
「……はい。そうなんです」
「気ぃつけや。これは俺らなんかよりも、もっと厄介な奴かもしれんで」
「……忠告、ありがとうございます」
緩んだ力に、葵はそっとマサキから離れる。
「なんかあったら言いや。俺らが守ったるさかい」
そう言って彼は片手を上げた後、車を走らせていった。



