そう言うと、そっとやさしく腰を引かれ、ふわりと軽く抱き締められる。
き、君ってこんなことするような男だったっけ?! と動揺していると、「トーマがしたくてもできないから、その代わり」と。流石は似たもの同士。
何だか気が抜けた葵は、ヒナタの肩に頭を乗せた。
「(なんか、君から近づいて来られるの新鮮……)」
そう思っていたら、「あのさ」と声を掛けられた。
「この間は、ごめん」
一体何の話をするのかと思って構えていたら、何故か謝られた。いつの、何のことかわからず、葵の頭の中はハテナでいっぱい。
「言い方。キツかったと思って」
「えっと。いつもだと思うんですけど」
「……カナに、『言い方考えろ』って言われたから」
「!」
あの時のか。確かに彼に、相談に乗ってもらったけど……カナデも、葵に近づけないなりに、見えないところで気を遣ってくれていたらしい。
「……うんっ。ぜんぜん、だいじょうぶ、だよ?」
「そ。それなら、いいけど」
本当に彼は、それ以上のことは話さなかった。「ただ、本当にそういう話をするのが嫌だったから」とか「泣いたの?」とか「……ごめん」とか、そういうことしか話さなくて。「ううん。気にしてないよ? 大丈夫だよ?」と葵も返すだけ。
それから次の人が来るまで、ヒナタも葵の肩に頭を置いていた。今までは少し距離感が掴めなかったのに、カナデのおかげで、ヒナタのおかげで、そんなのはもうどうでもよくなった。
その後は、「ん」とか、「うん?」とか、「ううん」とか。ちゃんと言葉は話さなかったけど、なんだかとっても楽しかった。
そうしていると、生徒会室の扉がノックされたので、二人してバッと慌てて離れる。
「おっと。仕事中だったね」
「そうだね」
至って普通に返してきて若干むっとしたが、どうやら扉を開けに行ってくれるらしい。そこにはウサギさんが立っていた。
「(襲わない自信がないぃ~……)」
そんなことを思っていると、ヒナタがオウリに何か言ったのか、悪戯っ子な笑みを浮かべて部屋から出て行った。
「(え? どうしたんだろう)」
オウリが固まったまま、入り口から動かない。
「お、オウリく~ん?」
ちょっと控えめに呼んだら、すぐに帰ってきた。すると、携帯に文字を打ちながらズンズンこちらへ歩いてきて。



