どれくらいそうしていただろうか。また彼の手が、妖しくなっている。それにどうやら胸元に口づけを落としてきているみたいで、時々吸い付く音が聞こえた。
そしてとうとう帯も取られ、葵は布団に再び逆戻り。
見上げた彼の目元は涙で濡れていたが、その表情はとてもスッキリしていた。
「それで? 答えは出たんですかシオンさん」
「ははっ。……うん。出たよ」
彼が葵の左側に手をつき、右の頬を優しく包み込んだ、その時。スパーンっと豪快に襖が開く。
「アオイちゃーん! ごはんが…………あっ、アオイちゃんが親父に襲われてるうー⁉︎」
呼びに来てくれたカナデに目撃されてしまった。
カナデがそう言ったまま動かずに固まってしまったので、目の前の彼はにや~っと笑ったあと、顔を寄せてくる。
「ちょっ! 親父!」
「――⁉︎」
しかも耳攻め⁉︎
親子だからって、そこまで似なくてもいいんじゃないの?!
彼は満足そうな顔をして、ゆっくりと葵から離れていった。
葵はというと、耳にそんなことをされるわ囁かれるわで、少し顔を赤くしたけれど。
「……ふふっ。こちらこそ! 任せてください!」
笑顔でそう答えた。すぐにカナデが間に入り込んでぎゃあぎゃあと文句を言われたので、正直台なしになってしまったけれど。
葵からしてみたら、カナデも彼もじゃれているようにしか見えなかった。
『――ありがとう。これからもカナデをよろしくね』
そう囁かれた彼の、父親としての言葉に、葵はとても心が温かかった。
じゃれ合っている二人を見ながら、葵はなんだか少しだけ母親ってこんなものなのかなあと思いながら、帯を締め直していたんだけど……。
「あ。アオイ、ちゃん……?」
「ん? なーにカナデくん」
カナデが葵の方を指差してくる。
シオンも彼が指差している指の先を目で追う。
「(なんだなんだ? 人のことを指差しちゃいけないって習わなかったのかあー?)」
と思いながら、彼らの視線を辿ると――――。



