相変わらず自信たっぷりさに、葵はしばらく笑いが止まらなかった。
「ははっ。どこから出てくるんですか、その自信は」
『……よかった』
すごくやわらかい声に、葵の笑いがぴたりと止まる。
『先程まで泣いていらっしゃったのでしょう?』
「…………」
『あなたの笑顔を間近で見られないのが、残念でしょうがないです』
「……ふふ。ありがとうございます」
彼と話したおかげで、さっきまでの苦しい気持ちは、どこかへ行ってしまった。
『あなたは溜め込む節があります。いろんな気持ち全て』
「そうですね。でも昔よりは楽ですよ」
『と言うと?』
「今は、何も聞かずにわたしの苦しい気持ちを聞いてくれる友達がいるんです。流石に、こういうことは話せないですけど」
ツバサに話せる感情はこれじゃない。でもキサも聞いてくれる。
そしてこれは、葵自身が考えないといけないことだから。
『また苦しくなったら、私が聞いてあげますよ。そのお友達にも言えないようなことも』
「そ、そんなご迷惑は……」
『いいえ違いました。ただ、あなたの声が聞きたい』
「――!」
愛おしげな甘い声でそう言われると、腰が抜けそうになる。
『私も少し忙しい身ですので頻繁には難しいですが。まあ声が聞けるだけでも十分、私は嬉しい』
「そ、……そうですか」
どうやら、葵の様子に気がついていない彼は、電話する前提で話を進める。
『もし、あなたがこの番号に掛ける時、真夜中から早朝の間だと助かります』
「やっぱり怪盗さんはその時間が活動時間なんですね。あ、お仕事はいいんですか?」
『私は怪盗ではありませんので』
「でも、お仕事って言ってましたし。……盗んで、いただけるのでしょう?」
葵が冗談でそんなことを言うと、彼は一瞬黙った後。
『そうですね。私は怪盗だ』
「ほら! やっぱりそう――」
『あなた限定の』
「……!」



