すべてはあの花のために③


「心配かけてごめんね。でもこれはやり過ぎです」

「おはようのキス……」


 いやいや、それはバカップルの話。


「それはそうと、電話よかったの?」


 葵のせいで切らせてしまったのかと思ったのだが。


「ああ大丈夫だ。シン兄だし」

「へ? シント?」


 いつの間に番号を交換したのかと思ったが。


「(きっとあの時だろうな。逆にそこしかないだろうし)」

「あの時は、葵のおかげでシン兄と話すことができたんだ」


 葵が気づいたことを察したのか、アキラはこの間のことを話してくれた。


「ふふ。それはよかった。でも怒られたんでしょう?」

「なんでわかるんだ」

「わたしにわからないことなんてありませ~ん」


 拗ねたアキラは納得してないようだった。もちろん、それで納得する方がおかしな話だけれど。


「シントから聞いたんだ。殆ど教えてくれなかったけど」

「……何を聞いたんだ」


 真面目な声に、ふっと笑って素直に答えてあげる。


「確かシントは――……」