そこには、柔道の稽古をしているアカネとオウリの姿があった。
毎朝の日課なのだろうか。二人は黙々と稽古をしていた。
「(二人とも、目が真剣だ)」
どうやらちょうど切りがいいみたいだったので、葵は戸を少し叩いてその部屋の戸を開けた。
「おはよう二人とも」
「あおいチャン!」
「――!」
葵の姿に気づいた二人は大急ぎでこちらへと駆けてくる。
「もう起きても大丈夫なの?」
「……?」
そうか。どうやらみんな、葵が倒れたことは知っているみたいだ。
「うん。大丈夫だよー。心配してくれてありがとう」
葵がそう言うと、二人はホッとした顔になる。
「あおいチャン全然起きなくって。そのまま寝ちゃったから、おれらとは別の部屋でゆっくりしてもらおうと思ったんだ」
「(こくこく)」
「そのままって? わたし、シオンさんとマサキさんにあそこの部屋に連れて行ってもらったんじゃないの?」
二人はどうしようかと迷っていた。
言うべきか、言わないままにしておくべきか。
「えーっとね、あおいチャン。朝早いから、大きな声出さないでね……?」
「(こくこく)」
「そ、そんな驚くようなことがあったの?」
「あおいチャンね、おじサンに抱えられて、まさきサンと一緒におれらが入ってる風呂に連れてこられたんだよ」
「(ぽっ)」
………………え。



