すべてはあの花のために③


 そのあと、着替えとキサを持ってきたアカネとカナデが、露天風呂に戻ってきた。
 キサは入ってきた時に「ぎゃ!」っと潰されたような声を出して驚いていたが、テキパキと葵を着替えさせる準備をした。


「取り敢えず今は入って来んな!」と言われ、男共は寒空の下露天風呂の中に取り残されてしまった。


「日向は」

「布団の準備してくれてるよ」

「そう。カナも知ってたのね」

「え。……も、ってどういうこと」


 あ、ヤバいと思った時は、もう遅い。
 アキラとアカネは、ぽろっと言ってしまったツバサにため息をつく。


「おい。どういうことだよ」

「――!」

「ねえ。アカネもアキも、何隠してんの」


 その三人に便乗して、シオンとマサキも軽く睨むような目で様子を窺っている。


「……俺らから話せないんだ。ごめん」

「アタシも悪かったわ」

「でもこれだけ言っておく。『これ』は勝手に人に聞いちゃいけないこと。知りたかったら自分で彼女に直接聞くこと」


 アカネに、「言い過ぎだ」とアキラとツバサが突っ込みを入れるが。


「しょうがないじゃん! つばさクンがぽろっと言っちゃうのが悪いんでしょ!」

「だから! さっき悪かったって言ったじゃない!」

「喧嘩してる場合じゃない」


 そんな様子の三人に、他のみんなは首を傾げている。


「……取り敢えず、俺らから言えることは何もない。早く葵を寝かせてあげよう」


 アキラがそう言ったと同時に、キサから入ってこいという合図が来た。
 アキラ、ツバサ、アカネはすぐに更衣室へと向かう。


「(……一体あの三人は何を隠してるんだ。いや違うか。ヒナくんもだ)」

「(一体何だってんだよっ。あいつ、何であんなに冷たくなって……)」

「(あーちゃん……)」


 カナデ、チカゼ、オウリの三人も、後に続いて更衣室へ入っていった。