すべてはあの花のために③


「……多分大丈夫」

「そうだね。しばらくしたら落ち着くと思う」


 ヒナタとカナデがそう言ってアキラとツバサの手を取って、葵の手を握らせる。


「握ってあげてて」

「安心すると思うから」

「おうりとちかクンは、あおいチャンの体摩って温めてあげて」


 二人とアカネはそう言って、風呂から出て行こうとする。


「お、お前らはどこ行くんや?」


 マサキがそう言うと、二人は戸を開けて振り返りながら。


「布団温めておく」

「着替え準備しとかないと」

「きさチャン連れてくるよお」


 そう言い残して、浴場から出て行った。


「……なんや、この状況に慣れとるみたいやんか」

「そうだね。慌てた俺らがバカみたいじゃん」


 そう言ってシオンとマサキは、抱える葵の真っ白になった顔を心配そうに見つめる。


「……茜は知ってたけど」

「カナとヒナタも知っていたのね」


 アキラとツバサは、小さい声でそんなことを言っていた。


「な、なあ! こいつ、どうしちまったんだよ!」

「(こくこく!)」


 全く状況がわからないチカゼとオウリが葵を摩りながらそう聞いてくる。葵の体は、さっきよりは冷たくなくなっていた。


「すまない。俺らもわからないんだ」

「そうね。アタシも、こんなこの子を見るのは初めてだから」


 アキラとツバサは、それ以上は言わなかった。
 ――いいや、言ってはいけないことだからだ。

 そうしていると、葵がうっすらと目を開けた。