「わたしは、結婚をするつもりはありません」
「それはどうしてなん」
さっきははぐらかしたのに、今度は聞いてくる。
「……そう、ですね。道明寺だから、でしょうか。わたしには、これぐらいしか話せません。ごめんなさい」
「だったら俺が道明寺に話をしてあげるよ。どうしてもアオイちゃんが欲しいんですけどって」
ここで終われるかと思ったのに、シオンがそんなことを言ってくれる。葵は驚いて固まってしまった。
「それか、俺が華麗にアオイちゃんを攫ってあげてもいいよ?」
重なった言葉に、ふっと自然と頬が緩む。
「ふふっ。それは本当に嬉しい限りです」
「あー。絶対できんって思うとる顔やー」
「本当にやる気満々だからね?」と彼らは言ってくれる。
「すごく嬉しかったです。……でも、きっとそれができたとしても、わたしが道明寺に戻ることを選ぶと思うので」
「それは、アオイちゃんが異常に強いこととか、異常に頭がいいことと関係があるの?」
葵は何も言わなかった。
ただ、にっこりと笑うだけ。
「「(……関係がある、ってことか……)」」
葵はもういいかと思って立ち上がろうとしたが、シオンにそっと腕を掴まれ、引き寄せられる。
え?! っと思う間もなく、彼は葵の耳元で何かを呟いた。



