すべてはあの花のために③


「わたしは、結婚をするつもりはありません」

「それはどうしてなん」


 さっきははぐらかしたのに、今度は聞いてくる。


「……そう、ですね。道明寺だから、でしょうか。わたしには、これぐらいしか話せません。ごめんなさい」

「だったら俺が道明寺に話をしてあげるよ。どうしてもアオイちゃんが欲しいんですけどって」


 ここで終われるかと思ったのに、シオンがそんなことを言ってくれる。葵は驚いて固まってしまった。


「それか、俺が華麗にアオイちゃんを攫ってあげてもいいよ?」


 重なった言葉に、ふっと自然と頬が緩む。


「ふふっ。それは本当に嬉しい限りです」

「あー。絶対できんって思うとる顔やー」


「本当にやる気満々だからね?」と彼らは言ってくれる。


「すごく嬉しかったです。……でも、きっとそれができたとしても、わたしが道明寺に戻ることを選ぶと思うので」

「それは、アオイちゃんが異常に強いこととか、異常に頭がいいことと関係があるの?」


 葵は何も言わなかった。
 ただ、にっこりと笑うだけ。


「「(……関係がある、ってことか……)」」


 葵はもういいかと思って立ち上がろうとしたが、シオンにそっと腕を掴まれ、引き寄せられる。
 え?! っと思う間もなく、彼は葵の耳元で何かを呟いた。