すべてはあの花のために③


「(あ~まだ耳がキーンってなってる……)」


 葵は、耳元でキサに叫ばれたので、鼓膜が破られるかと思った。


「(何をそんなに嫌がることがあったっけ。まあそもそも、胸に『感動』を求めるのもよくわからないけれど)」
(※多分それ、間違えて覚えてます)


 少し逆上せてしまったのと、目元が少し赤くなっていたので、家の探検をしながら涼むことにした。ちなみにキサはというと、完全に逆上せてしまったので布団の上で死んでいる。いや、死んだように寝ている。


「(初めて見た時はすごく怖そうなイメージだったけど、結局カナデくんが大好きな人たちばっかりで、すっごいいいところだな)」


 そう思いながら歩いていると、カナデの父――シオンとマサキが話しているところに出会してしまった。


「あ。お先にお風呂いただきました」

「おー。てか、そんなうろうろしとったら湯冷めするで?」

「俺が温めてあげるからこっちにおいで」


 なんか、切り替え早いですね……。
 温めてもらうのは、丁重にお断りしたが、少しだけ話をさせてもらうことにした。


「大勢で押しかけてしまってすみませんシオンさん。それに浴衣も、寝るとこまで準備してもらってしまって……」

「そんなこと? 全然いいのに。ああ、因みにアオイちゃんは俺と同じ布団だからねー」


 ……うん。血は争えないわ。


「えー。紫苑さん、俺も葵ちゃんと同じ布団がええ」

「いや、どっちにも入りませんから」


 大丈夫ですかね、五十嵐組は。
 心配になってしまうんですけど。