すべてはあの花のために③


「いやーアオイちゃん。俺すっげー気に入っちゃった。どう? カナデなんかやめて俺にしない?」

「はああああああ⁉︎」


 そんな親父の言葉に、その場の全員が叫び出す。
 葵と親父は頑張って耳を塞いだけれど、あまりにも大きかったので隙間から結構な音量で入ってきた。


「おい親父! 俺のアオイちゃんに何手出そうとてんの?!」

「まだお前のじゃない圭撫。今は俺のだ」

「それも違うから! 何ややこしくしてんのよ!」

「それなら俺も混ざろかなー」

「へ? マサキ?」

「カナ、裏切るわ。先に言うとこ」

「おいー!」


 そんな様子を見ていた葵とキサは、二人目を合わせて笑っていた。


「(ああ。本当によかった。これでみんな前に進めた)」


 葵がそう思っていると、そういえば()の方はどうなったんだろうとふいに思う。


「(……あとでちょっと聞いてみるか)」


 そうして今日は葵の宣言通り、文化祭の打ち上げを五十嵐家ですることになった。友達の家にお泊まりするのが初めてな葵は、嬉しすぎてはしゃいでしまった。