「だから、雪の女王って本当は心のやさしい人なんだ。わたしは、そう思ってる」
「だから、自分のことをそんな風に言わないで……」と、葵はツバサの手を握り締めながらそう小さく呟く。
聞こえるか、聞こえないか。それくらいの大きさで。
「(この子は。ほんと、どこまでわかってるんだか……)」
ツバサは、自分の手を震えながら握り締めて俯いている彼女の頭にこつんと頭をくっつけ、離れる時にそっと。そこへ小さな小さなキスを落としておいた。
「そうね。アンタの言う通りだわ。こんな美人で優しい女王様なんて、アタシ以外にできないものね~オーッホホホ!」
「いや、リアル女王様がおられますけどね」
「え? 誰よ」
「キサちゃんらしいよ」
「誰がそんなこと言い出したの」
「幼馴染みたち」
「……よくわからないけど、まあアタシもあの子に肘鉄食らったことあるから、否定はしないでおくわ」
「そういえばそんなこともあったね。うん。そうしとこう」



