すべてはあの花のために③


「……アオイちゃん」

「ん?」

「俺、やっぱりアオイちゃんにはずっと傍にいて欲しいんですけど」

「一緒にいてあげるよ? 友達じゃないか」


 彼は首を振る。二人の様子に、生徒会のメンバーが飛びかかりそうになっているが、組の人たちに押さえつけられている。その様子をキサは、あらまー! と楽しそうに見ている。


「アオイちゃん。これからずっと、俺の傍にいて欲しい。これからは俺が、君を傍で守ってあげたい」

「……え。それって……」

「うん。……アオイちゃん。俺の彼女に、なってくれませんか?」

「――!」


 少し照れながら、カナデが葵にそう伝える。

 葵はカナデにそんなことを言われるとは思わなかったので、驚いて一瞬固まってしまった。
 みんなも、固唾を呑んで見守っている。
 葵はゆっくり目を閉じて、しっかり考える。


「……カナデ、くん……」

「うん。なに? アオイちゃん」


 カナデは葵を焦らせないように、それ以外は何も言わず、葵の言葉を待つ。


「そう言ってくれて、すごい嬉しい」

「……そっか。それはよかった」


 彼女から出てきたのは、よくある振られる前の言葉。カナデは苦笑いしながらそう答えた。……でも。


「……きちんと、考えたい。カナデくんの思いを無下にはできない。したくない。だから少しだけ、時間をもらってもいいですか? わたしもまだ、整理ができてない、ので……」


 葵が俯きながら、照れながら、尻すぼみになりながら、なんとかそう言う。
 完全に振られると思っていたので、今度はカナデの方が驚いたまま動かなくなった。


「……あ、れ? だ、だめですか? 今じゃないと」

「へえ?! か、考えてくれるの?」

「え? うん。嬉しかったから、しっかり考えたい。……わたしも、変われたから」


 みんながその言葉に動きを止める。


「……そっか。ありがとう。でも俺、せっかちさんだから……明日。一緒に彼女たちのとこ、行った後に返事、もらえる?」

「う、うん。そんなに待たせるつもりは……ない、です」


 照れた葵のかわいさに、カナデの我慢が限界に達する。