カナデがそう言うと組の、親父とマサキ以外が飛びついてくるが、カナデはそれを華麗に避け今度はみんなの方を向く。
「みんなもありがとう。みんながいたから俺は成長できたよ。……どうせ、アフターフォローもバッチリなんでしょ?」
カナデがそう言うと、キサとヒナタがにやりと意地悪く、アカネとオウリがにっこりと笑う。
「はあ。……文化祭の振り替えだし、明日会いに行きますよ、彼女たちに。アキ、チカくん。俺の代わりにやっつけてくれて、ありがとう」
「……オレ、はっ……」
「よかったら一緒に先生のお見舞い行ってもらえない? 俺、一人じゃ心細くって」
カナデがウインクをつけてそう言うと、チカゼは苦笑いしながら、「……ははっ。りょーかい」と涙声で返していた。
「ツバサ。アオイちゃんにも声掛けてくれてありがとう。お前のおかげで俺は今、こうしていられるよ」
カナデが真面目な顔でそう言うと、ツバサは「気持ち悪っ!」と言っていたけれど、その顔はずっと笑顔だった。
「最後に、……アオイちゃん」
「ん? なあにカナデくん」
カナデは葵の前に立ち、手を取って、ゆっくり話し出す。
「キツいこと、言ってくれてありがとう」
「ドMだねえカナデくん」
「ははっ。そうかも。……ちゃんと知ってたら、アオイちゃんのこと、傷つけずに守れたのに」
カナデは、葵の頬の傷と肩口に触る。
その触り方が遠慮がちで、ちょっとくすぐったかったみたいで、葵は少し身を捩らせる。
「アオイちゃんが狙われることも、襲われることもなかったのに」
「でも、そうじゃないと君は多分わたしに話さなかったんじゃない?」
「そんなことは……」
「ないとは言い切れない。組のことも、東條のことも、それから過去のことも」
「……うん。そうかもしれない」
「うん。だから、わたしは君のことが知れて嬉しいよ?」
葵がにっこり笑ってそう言うと、カナデも嬉しそうに笑ってくれた。



