「いいですかみなさん。あなた方は、大好きな人の話も聞かずに、他人の言うことを信じてしまったせいで、早く解決できたような事件を、ここまで大きくした挙げ句、カナデくんを過保護に守りすぎたんです!」
葵がそう言うと、みんなはびくっと肩を揺らす。
「大人のあなたたちが、子どものみんなに教えてもらうってどういうことですか。でも、わたしはみんなにも怒ってますからね。ちゃんと最初から全部伝えておけば、届くまで話しておけば、こうはならなかったかもしれません! ……それでも、みんなは反省してるから、逆にカナデくん。君には言わなかったんです。何でかわかりますか?」
「え。な、なんで、だろう……」
「カナデくんが人を警戒していたから。カナデくんが殻に閉じこもっていたから。みんなは、カナデくんが捕まった人たちの情報を集めようとしてるとは知らなかったんだと思います。みんなはきっと、そんなことがあったカナデくんは自分と親しくなった人が襲われてしまうことを怖がっているんだと、悲しがっているんだと、寂しがっているんだと、そう思っていたんだと思いますよ」
自分たちが掴んだ本当の話を、今の君に話しても、君はまた自分を責めるんじゃないかと。
「だからツバサくんは、わたしに『すくって』と頼んできたんです」
――掬い上げたら、あとは自分たちが何とかするからと。
「でも、わたしは君を掬い上げはしませんでした。君に成長して欲しかったので、自分から動けるようにキツいことも言いました。ごめんなさい。でも君はちゃんとここまで来ることができた。成長できたんです。自分から動いたんです。……バカ親父から、掬い上げたんですよ。自分自身を」
葵はそう言って、カナデの前にしゃがみ込んで視線を合わせる。
「ビビりで弱虫のカナデくんは、もうここにはいないでしょう? ちゃんと、自分から過去の話もできたでしょう? 君も、ちゃんとあの時に、本当は心配してくれている家族に話しておくべきだったんですよ」
でも、遅くなったけど今、ちゃんと向き合えた。
自分とも。大好きで、信じたかった家族とも。
だから、みんなは君にも大バカ親父たちにも、この話を裏側を話してくれた。
「さあカナデくん! 成長した君になら言えるはず。今まで背を向けてた家族に、ちゃんと、自分の思いを伝えましょう」
葵はカナデの腕を掴んで立ち上がらせ、組の奴らの方へ体を向かす。
カナデは最初は下を向いてたものの、しっかり視線を合わせ、そして話し出した――――。



