「それで? 何であんたは知ってるの」
引き剥がしたヒナタが、葵に尋ねる。
「え? そんなの知らないよ?」
葵がにっこり笑顔でそんなことを言う。その様子に、ヒナタは怪訝な視線を向けた。
「……何となくそうじゃないかと思っただけなんだよ本当に。前にツバサくんが、自分たちじゃ手を出せないんだって言ってた。自分たちが消されちゃうからって」
「まあそうだね」
ヒナタは葵を掴んでいた腕を放し、聞く体勢に入る。
「それなら、直接は手が出せなくても、まわりには攻められるんじゃないかと思ったんだ」
葵は指を一本立てて語り出す。
「だって君たちはカナデくんの友達だからね! 昔っからの! なんでわかった時にカナデくんに言わなかったのか、何となく理由はわかるけど、みんなはその機会が訪れるのを待っていた。……カナデくんが前進した時、彼をすくえるように」
ヒナタは何も言わなかった。
ただ、悔しそうな。恥ずかしそうな。そんな顔だった。
そのタイミングでみんなの顔を見たら、“この時を待ってましたー!”って、めちゃくちゃ笑顔で笑っていた。
あ。アキラがいつの間にか起き上がってる。復活したんだね。よかったよかった。
「さあカナデくん? あ、それと大バカ親父とその子分たち? あなたたちがしてこなかったこと。ちゃんとカナデくんを守ってきたみんなの話。……耳かっぽじって、よ~く聞きなさいッ!!」



