すべてはあの花のために③


「それでですね、カナデくんや」

「ん? 何かな、アオイちゃんや」


 葵は抱きつかれたまま、カナデに話をすることにした。


「きっとこいつらちゃんと話せないだろうから、わたしが話をしてあげようと思うよ?」

「え? 意味わかんないんだけど」


 葵はカナデを見つめて真剣な顔で言う。


「カナデくん。今までこうなったのは、全て勘違いからだったんだ。それは相当酷いね。それで君は苦しんだ。彼女さんと先生も。それでもカナデくんは、今ここで『自分一人だけ知らないこと』が聞きたいかい?」


 葵の真剣みを帯びた声色に、カナデは一瞬眉を顰めるが。


「うん聞く。俺はこいつらのこと、家族だけど信用できてないんだ。だから……教えてアオイちゃん。俺が今信じられるのは、友達だけなんだ」


 ちょっと寂しそうに言うカナデの頭を撫でながら、葵はゆっくり二つの話を合わせた、勘違いから起きてしまった悲しい、本当の真実をカナデにも話してあげることにした。


「まず。こいつらは君の最初の彼女を、最低女だと思ってます」

「……それこそ最低っす。あんなにいい子なかなかいないし」


 カナデがそう言うと、お馬鹿な奴らが一回り小さくなった気がした。


「まあなんでかって言ったら、どこかで彼女が違う男を作ってたって聞いたんだって」

「は? 何それ初耳。そんなことするような子じゃ……あ、でもそうか。それが彼女を襲った奴か」

「うん、多分そう。こいつらに言ったのも彼女を襲った奴らだと思うよ? それを簡単に信じたこいつらも悪いけどね。まずは本人に聞けよってことだよ」

「それは本当にそう思う! 塞ぎ込んだけど、みんなは家族なんだから話すに決まってるじゃん!」


 カナデのその言葉で、また小さくなった気がしたお馬鹿な奴ら。