「それでですね、カナデくんや」
「ん? 何かな、アオイちゃんや」
葵は抱きつかれたまま、カナデに話をすることにした。
「きっとこいつらちゃんと話せないだろうから、わたしが話をしてあげようと思うよ?」
「え? 意味わかんないんだけど」
葵はカナデを見つめて真剣な顔で言う。
「カナデくん。今までこうなったのは、全て勘違いからだったんだ。それは相当酷いね。それで君は苦しんだ。彼女さんと先生も。それでもカナデくんは、今ここで『自分一人だけ知らないこと』が聞きたいかい?」
葵の真剣みを帯びた声色に、カナデは一瞬眉を顰めるが。
「うん聞く。俺はこいつらのこと、家族だけど信用できてないんだ。だから……教えてアオイちゃん。俺が今信じられるのは、友達だけなんだ」
ちょっと寂しそうに言うカナデの頭を撫でながら、葵はゆっくり二つの話を合わせた、勘違いから起きてしまった悲しい、本当の真実をカナデにも話してあげることにした。
「まず。こいつらは君の最初の彼女を、最低女だと思ってます」
「……それこそ最低っす。あんなにいい子なかなかいないし」
カナデがそう言うと、お馬鹿な奴らが一回り小さくなった気がした。
「まあなんでかって言ったら、どこかで彼女が違う男を作ってたって聞いたんだって」
「は? 何それ初耳。そんなことするような子じゃ……あ、でもそうか。それが彼女を襲った奴か」
「うん、多分そう。こいつらに言ったのも彼女を襲った奴らだと思うよ? それを簡単に信じたこいつらも悪いけどね。まずは本人に聞けよってことだよ」
「それは本当にそう思う! 塞ぎ込んだけど、みんなは家族なんだから話すに決まってるじゃん!」
カナデのその言葉で、また小さくなった気がしたお馬鹿な奴ら。



